ガンプラのマテリアルリサイクルは、回収に余分な負担をかけず、回収したランナーをそのまま粉砕して再利用することで、世界で一番安価にリサイクルを実現することを目指しています。
全国のお店にバンダイナムコの商品を配達したトラックが、帰路にランナーを回収します。そのため回収に特別な物流負担がかからず、また成分が分かっている自社製品のランナーを集めるので、粉砕するだけでそのままプラモデルに成形できます。
バンダイナムコグループ4社共同による大型企画、「ガンプラリサイクルプロジェクト」は、ガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」のランナー(プラモデルの枠の部分)を回収し、最先端技術であるケミカルリサイクルによって新たなプラモデル製品へと生まれ変わらせることを目指すプロジェクトです。
集まったランナーは、「ガンプラ」の生産工場「バンダイホビーセンター」から排出されるプラスチックと合わせて、一部をケミカルリサイクルの実現に向けた実証実験用の材料として、そして残りをマテリアルリサイクルおよびサーマルリサイクルにより再活用します。
将来的には全国の「namco」をはじめとする㈱バンダイナムコアミューズメントの対象店舗約190ヶ所に専用のボックスを設置し、ファンの皆様からのランナー回収を受け付けます。
プラモデルで主に用いられているプラスチックのポリスチレンを化学的に分解し、ポリスチレンの原料であるスチレンモノマーに戻す最先端の「ケミカルリサイクル」技術の実証実験を行います。使用済みのプラスチックを破砕・溶融・固形化して再利用を行う「マテリアルリサイクル」では、再生後の素材の強度や色の再現性などの面で、プラモデル製品への利用範囲に制限がありました。「ケミカルリサイクル」では、使用済みのプラスチックを新品のプラスチックへ再生することが可能なため、商品への幅広い利用が可能となります。
1980年の発売以来、「ガンプラ」は多くのファンの皆様に親しまれ、愛され続けるブランドへと進化を遂げました。本プロジェクトにおいて、「ガンプラ」のさらなる飛躍をするべく、「世界初となるケミカルリサイクルによるプラモデルの製品化」という夢を、プラモデルを愛するファンの皆様とバンダイナムコグループが一体となって推進し、持続可能な社会(SDGs)の実現に貢献してまいります。
Q.ケミカルリサイクルとは何か?
使用済みの資源を化学反応により組成変換した後にリサイクルすることです。
本プロジェクトでは、ポリスチレンを熱分解して原料のスチレンモノマーに戻し、再度プラモデル製品に活用することを目指します。
さらに詳しい情報はPSジャパン様のWebサイトをご確認ください。
Q.マテリアルリサイクルとは何か?
使用済みのプラスチックを破砕・溶融・固形化して再利用を行うリサイクル方式です。
Q.マテリアルリサイクルの「新たな活用方法の研究」とはどういうことか?
マテリアルリサイクルでは、異なる色のプラスチックを破砕・溶解・固形化するため、バージン材(新品のプラスチック)のような色の再現が難しく、また、強度面でも通常のポリスチレンに比べて弱い点が課題です。こうした課題を踏まえつつ、どうしたらお客様に楽しい商品として届けられるか、研究を行う予定です。
Q.サーマルリサイクルとは何か
焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用することです。
Q.サーマルで発電した電力はどのようにバンダイホビーセンターで使われるのか
今回のパートナーであるJ&T環境株式会社様がサーマルリサイクルを行い、そこで生まれた電力はJ&T様のグループ会社のアーバンエナジー株式会社様が買取を行います。アーバンエナジー様では、顧客から預かったものによって発電された電力分を、その顧客の電力料金に割引還元する仕組みをとっています。
本プロジェクトでは、回収したランナーのうち、ケミカルとマテリアルで使用しなかった分をJ&T様にお渡しします。バンダイホビーセンターは、2021年4月1日より、アーバンエナジー様と契約を結び、J&T様に渡したプラスチックにより発電された電力分だけ電力料金の割引を受ける計画です。
※「創電割R」 アーバンエナジー株式会社が廃棄物から発電した電力を買い取り、廃棄物の発生元施設へ電力供給する場合に、廃棄物量に応じて電力料金を割り引くサービスです。同サービスは2017年から開始されており、新電力の中でも独自のサービスとなります。
バンダイナムコグループでは、グループのミッションとして掲げている「夢・遊び・感動」を次の時代につなげるために、地球環境に配慮し、事業活動におけるエネルギー削減や商品・サービスにおける省資源化に努めています。その一環として、アミューズメント施設において業務用ゲームや店舗の照明で使用しているハロゲンランプ・蛍光灯のLEDランプへの交換を推進しているほか、工場の稼働効率化、ライブイベントにおけるLEDの積極採用や資材のリサイクル、エコドライブの推進など、さまざまな施策に取り組んでいます。
プラモデル事業においては、成形時に出る不要部分をマテリアルリサイクルした「エコプラ」を商品化しているほか、石灰石を主原料とする新素材「LIMEX」(開発:株式会社TBM様)を一部のプラモデル製品に採用するなど、プラスチックの再利用や削減の取り組みを積極的に行っています。