
期待を超える創造に挑む。
そのためには、情熱を持ってチャレンジし続けることはもちろん、異分野から学ぶ姿勢も欠かせません。
「匠×TAKUMI Cross Talk」は、異なる業界や部門、職種で活躍する「匠」の両者が語り合うことで新たな発見や発想、気づきを得る企画です。
今回は “究極のガンダムの完成品”『METAL STRUCTURE 解体匠機』を担当するBANDAI SPIRITS コレクターズ事業部の野口勉と、“ガンプラ40周年の集大成となる究極のガンプラ”『PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 RX-78-2ガンダム』を担当する同ホビー事業部の齊田直希が語り合いました。
二人の「匠」が考える、モノづくりのアイデア、そして哲学とは――。

野口 勉 Tsutomu Noguchi
株式会社BANDAI SPIRITS
コレクターズ事業部 企画第三チーム
住宅メーカーの企画開発から2004年にバンダイに転職。
ホビー事業部、ボーイズトイ事業部で企画開発担当として多くの商品を手掛け、2015年よりコレクターズ事業部へ。企画チームのマネージャーとしてチームを統括しながら、『ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.』や『METAL STRUCTURE 解体匠機』、『魂之工房』などのシリーズを立ち上げた。
齊田 直希 Naoki Saida
株式会社BANDAI SPIRITS
ホビー事業部 ガンダムチーム企画担当
2013年入社。トイ戦略室で市場調査に関わった後、ガールズトイ事業部でホビークラフト商品などの企画を担当。その後ホビー事業部でニューホビーを担当した際にプラモデルに触れ、モノづくりを学びたいと志願、バンダイホビーセンターに配属。『30MM』などを手掛け、現在はガンダムチームでガンプラの開発を行う。
社内に良きライバルとも言える部署があることで、
お互いのレベルがどんどん上がっていく
- 齊田
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作る過程を楽しんでもらうか、完成品を届けるかという点では、ユーザーへのアプローチの仕方が本当に違いますよね。
- 野口
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プラモデルの良さは、自分で作り上げることによって構造を理解し、カスタマイズで色を塗るなど遊び心を加えるといった過程があって、完成後には愛情が生まれていくのが魅力の一つですよね。
一方で完成品の場合の楽しみ方でいうと、脳内にあるビジュアルやアニメの映像を参考にしてポージングをしたり、動きを付けたりするため、可動やエフェクト―パーツで遊ぶという方が多いでしょう。今回の『解体匠機』でいうと、この大きさだとポージングを取るというよりは立ち姿がかっこいいだとか、情景なども含めた完成品ならではの遊びを追求しています。また、価格も高いので長く遊んでもらうようなオプションパーツなどの展開をしています。その意味では他のフィギュアとの差別化になったと思います。
- 齊田
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プラモデルは出来上がりがフィギュアにどんどん近づいていっているという自信がありますが、とはいえ、プラモデルの隣には、すでに完成しているクオリティの高い彩色済みの完成品が売っている…。じゃあ、プラモデルの価値はなんだ?となってしまいます。だからこそ、コレクターズ事業部からクオリティの高い商品が出てくると絶対に買いますし、一旦解体して「こんな構造になっているんだ」と確認して参考にすることもあります。
社内にコレクターズ事業部とホビー事業部があり、それぞれのレベルがどんどん上がって高め合ってきたからこそ、ここまでのプロダクトができていると思っています。
『解体匠機』が出た時の衝撃は大きくて、完成品の良さを改めて感じたとともに、ではホビー事業部として新たな価値観をどう生み出すか、プラモデルとしてのアプローチはどうしていくか、どういったチャレンジが出来るかなど、私自身かなりの刺激を受けました。
圧倒的なサプライズを提供し続けたい
- 野口
- 今後も、ユーザーに圧倒的なサプライズを提供し続けていきたいというのは大前提にあります。ただ、最近では実際のモノだけでなく、形にないもの、例えば、デジタル上のものや、計数などの数字的な側面も頭の中で図形を描いて考えていくことでモノづくりの一つなのではないかと考えていて、興味の範囲がさらに広がっています。まだまだあらゆるモノづくりの可能性があることにワクワクしていますし、新しいチャレンジができる場を探っていきたいですね。
- 齊田
- 私は、改めて、プラモデルの価値をもっと世界に広めたいと強く思っています。
昔からプラモデルを楽しんでいるユーザー、これから手に取るというユーザー、そして世界中のユーザー、すべての方が日常で感動を味わうことのできるプロダクトだという自信があるので、認知を高めていきたい。そして、僕自身はその間口をさらに広げる努力を続けながら、コレクターズ事業部とホビー事業部でさらに切磋琢磨していくことができたら、市場がもっと盛り上がると思っています。
